MINIMUM SET OF TRUTH

appreciate toolkits that decrypting history, encrypting future of the planet

MINIMUM SET OF TRUTH

Less is more.

イノベーションとハイパーグロースを生み出すための最小限の公理のセットを記す。

蓼食う虫も好き好きという言葉があるものの、あらゆる生物が好き嫌いに関わらず従属せざるを得ない自然法則というものがある。これは1000年前でも1000年後でも従属せざるを得ない所与のものだ。

美の感覚というものは人それぞれ違うものだが、「美しい」という定義を、「2点間の時空移動という目的を、最小エネルギーで達成している物質の組み合わせ」というふうに解釈すれば、朝早起きの漁師たちから届く魚市場で、醤油ベースの牛肉と玉ねぎだけの組み合わせの立ち食いの牛丼が生まれてきたことにも美しさを感じる。料理も足し算と引き算の相互関係の中で最も少ない材料で支持されるコモディティが生まれた時に人は力学を感じて集まってくるのだろう。

事業経営というものも、このような人間の社会活動の中で当たり前に起こる副次物の一つであり、新規事業は生き物のようにふっと生まれてくる。生き物が生まれるときには当然の因果関係があり、その魂を呼び起こすのが事業経営だ。そして急激に成長する組織は、その生まれ方と育ち方に美しさがあるものだ。創業者がまるでいまでも生きているかのような躍動感がよい事業にはある。アインシュタインがあらゆる現代物理学で引用される新たな公式にも顔をだすのと同じように、先人はいまも呼吸をしており、事実、時空を超えて創業者が栄養を吸っているのだ。


1.Action principles(最小作用の原理)

最小作用の原理は物理学における最大の指導原理の一つである。時空間の移動を2点間でとった場合、時空を順転しても、反転しても、最小限の汎関数で到達しようとする性質を所与に持つのが自然法則である。電気抵抗があるところとないところの2択があった場合、電子は必ず電気抵抗のないほうを進むことを選ぶ。

2.General principle of relativity(一般相対性原理)

「物理学の法則は、任意の仕方で運動している座標系に関していつも成立する」という命題は一般相対性原理と呼ばれる。

「自然の一般法則は、すべての座標系に対して成り立つ、すなわち任意の座標変換に対して一般共変な方程式で表される」あるいは「一般座標変換によって物理法則は不変である」とも言い換えられる。つまり、二等辺三角形の斜辺の距離を示すための幾何学であるピタゴラスの定理は、100以上のあらゆる証明手段で証明できる。どんな座標系や関数を使ったとしても、その関数や座標系では示しきることのできない上位概念の自然法則があるから、次元を下げた下層ではさまざまな表現手段があるということである。赤くてみずみずしい物体が目の前においてあって、食べると甘い場合、それを日本語の言語体系の中でリンゴと表現してみても良いし、英語の言語体系の中でAppleと表現してみても良い。それは目の前にある物体の一部を表現している表現系のルールにしたがった概念表示に過ぎず、本物のリンゴの元素構成、物性を全て記述できていることにはならない。それと同様に、E=MC^2のように、エネルギーは質量×光の速度(と仮に定義された宇宙で最も早い速度)の二乗に比例するという公式は、光ファイバーや人工衛星による通信が消費者に問題なく使われているうちは真理に近い定理であるが、量子力学と時空の計算を跨いだ系では単なるツールのひとつくらいの役割にすぎない可能性を残す。ある時代における公式の対称性は、例外の発見という対称性の破れによって常に修正される可能性を残すということは、一般相対性原理から導くことができる。一方でなぜもっとも原始的な命題が最初から命題たりえるかという疑問についても、最初から所与のものだからということができる。(SAT問題)

自然法則の最上位性はあらゆる角度から証明することができる。

3.Stellar energy(恒星エネルギーの利活用)

人類がどんなに進化しようとも、人類が行なっているすべての産業、経済、政治における力学は超質量のブラックホール、中性子星、恒星などのエネルギーの残滓の副産物にすぎない。二点間の移動に関するエネルギーの最小化問題(最短距離ではない)を解き、三体問題を計算不可能として分類することでエネルギーを有効活用することができる。多体問題を二体問題に置き換えることができれば、2,3秒、2,3分、2,3時間、2 3日、2,3ヶ月で解決できる問題だらけになる。自分よりも大質量の星のエネルギーを用いて問題を解決するほうが、1日にたった1000kcal, 418万Joule,1162watt hourしか出力のない個体の力を使うよりも効率的なのは明らかだ。宇宙の力で核融合を繰り返し安定化した鉄を使ったり、核融合以上の力でつくられたプラチナや金の価値が高いことも人間は識別できる。地球上では超ウラン物質は安定化しないが理論的に質量が高く、半減期が短い超ウラン物質を探すことができる。超質量のブラックホール同士の衝突で時空が縮むことを発見できる人類は、鼓動や呼吸でも重力波が発生していることを知ることができる。質量、距離、速さ、時間が互いに変換可能であれば時空が繋がっていることも明白だ。

社会化した動物は、このような自然界における力学とは違う報酬付与条件を設定されてしまい、ボタンを押せばエサがでてくると思い込んでしまう。不祥事や喧嘩を起こさず、誰かに気に入られればエサがでてくるという習慣ができあがってしまうと、なぜ社会化から抜け出せないかに気付けなくなるとともに、社会化してしまっていることにすら気付けなくなる(病識がない)。では社会化から抜け出せる個体がいるのは何故か。

最小作用の原理や一般相対性原理に気付き、自然法則による、最小エネルギーでの目的達成という真実の報酬に気づき始めるきっかけは、飢餓である。

社会化した場合に得られる餌では足りない、より多くのことを考えたり、経験したりしたいと考えるものは、取得できるエネルギーが少ない飢餓状態になると、小さなコミュニティを抜け出し、自分で餌を取りに行くという決断を強いられる。

腹が減っていて常に満たされないものは、新たな食料を探す旅に出る必要がある。

新たな船出において頼りになる黄金の羅針盤は原始的な所与のものであり、あらゆる冒険者が無償で手に入れることができる初期装備なのだ。